小説【転職王の人生】
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小説【転職王の人生】
作者 立 建次(だて けんじ)

●読者の皆様へ
メッセージから第8回目のストーリーは小説【転職王の人生】更新経歴に移行しましたので御了承下さい。
引き続き
第9回目からあらたな展開でスタートしますので今後ともよろしくご愛読下さい。

第9回目(回想)
主人公の村井 悟(55歳)岡山県津山市生まれ。
父、村井正治、母,里枝の3男として貧しい家庭環境に育ち、小学3年生まで岡山に、家庭状況で親戚をたよりに大阪に引越し貧しさゆえ悟も家計のプラスとなればとの思いで中学3年間新聞配達をした。高校も夜間の定時制に通学しながら昼間は薬品会社に勤務。悟自身の性格も勤勉で真面目、実直な誠実さそのものの感じで正に田舎者であった。周囲から言われたとおりに実行あるのみ、どちらかといえば融通性が欠けているといわれても仕方がない性格であった。今の若い人から見ればダサイという言葉が当てはまるのかもしれない。遊びらしき事は殆どした事がなかった。只、人一倍に好奇心と情熱だけは異常なほどつよいものがあった。その例が高校1年のときタバコがどんな味がするか興味があった。大人のする事に興味があったのかもしれない。淀川の堤防で吸った覚えがある。煙が喉に掛かり咳き込んだ『何でこんなものがおいしくてみんな吸っているのだろう』と思った。頭が痛くなるし,重たくなり気分悪くなった。その後の村井は一度も肺のなかに入れたことがなかった。
4年間の高校生活で毎日,毎日クラブ活動卓球をしていた。中途半端がイヤな村井は何事も徹底していた。良いことも悪いことも、、、、。下手であったが上手になりたいと思う一念は強く、人一倍努力した。身体の全ての筋力を鍛える為朝の通勤は家から会社までランニングをした,又朝早く起きては公園で鉄アレイで素振りを、夜遅くは家でバーベルで鍛えた。日曜日には誰も居ない体育館で黙々と一人で卓球台を壁につけ練習した。腕の方は中々上達せず試合では殆ど負けていた。それでもくじけず誰が見ていなくても村井には関係なかった。とことん自分の可能性を試したかった。村井の今後の人生の生き方にも共通していた。4年生時には主将を務めた。村井にはもう一つ大きな問題があった。それは女性との係りが大きく左右することになっていくのである。
●第10回目(恋の芽生え)
真面目人間の代表的な村井悟の今までの人生であったと言っても良い。恋という恋は経験がなかった。というよりも機会が少なかった方が正しい。初恋を感じたのは小学4年生で今でも名前ははっきり覚えているが,前川恵子という体育系的な活発的な女の子がはじめて悟が好きになった女の子である。悟が勝手に好きになっただけであって気持がどうとかの段階ではなかった。
初恋というより正に恋の芽生えである。中学生になって、一段と女性に対して意識が強くなり女のこの前では一言も話しが出来ず額から汗がまるで滝の如く溢れるように滴り落ちるのである。顔面が真っ赤になり金縛りのようになって動けなくなり早く女の子が自分の前から立ち去ってくれるのをひたすら祈っていた。そんな悟にした女の子が浅井美子であった。どこかヨーロッパ的な雰囲気がありどこか日本人離れが似合う子である。この浅井にも悟は中学卒業まで声を掛けることはなかった。しかし小学生の時より中学生のほうがはっきり女性に対する意識が一段と強くなってきたのは間違いない。

●第11回目(社会人スタート))
悟の高校生活は大きな転機となる。中学生の時は未だ好きだとかの自分の意思は行動まで行かなかった。中学と高校との大きな違いはやはり自分の仕事で収入があるということ。自分で稼ぎ自分で使えるお金があるということは、お金の価値やなにに使うかを自分の判断で決めていくことの重要性は人生を生きていく上で自分の環境にも影響する。自分の金で授業料を払う、当たり前であるが貯金も出来る。只、悟は会社からの天引貯金をした、月T万円であったがチリも積もれば山となるである。後で振りかえると約60万円近い貯金が出来たのである。当時の月給は1万五千円ぐらいと記憶している。家にも少し入れたが後は自分でつかえる金である。自由に使えるお金があると人間は自分なりに考える。考える事の必要性は人間を成長させる因となる。悟は遊ぶでなし何に使うかは夜間の学校での食事ぐらいである。後、クラブが終わって部員と十三の繁華街ビルで食事をするぐらいが贅沢である。当時の悟はお金の価値とか使途金などには無頓着でお金そのものに執着はなかった。それよりも卓球が強くなりたい、何とか勝ちたい、勝つにはどうすれば強くなるのかという事ばかり考えていた。故に恋をする時間などなかった。しかし不思議なものでクラブには男女部員が多いときでは50人ぐらいいた。みな夫々仕事は違うし年齢の幅は10代から60代まで人生豊富な方々の集まりである。

●第12回目(夜間高校時代)
夜間高校、いわゆる定時制高校である。昼間は仕事をしながら夜は勉強やクラブ活動が主体である。職業も年齢も幅広い集まりである。悟自身勉強は嫌いではなかった。やはり負けたくないという気持が強くクラスで何時も成績は上位であった。点取り虫ではなくどうせやるなら精一杯やろうという気持であった。何でも夢中になるタイプであったのは事実である。よる遅くクラブ活動を終えると身体もくたくたであったが帰りの途中では学校の近くに交番所があったので誰もいない交番所で良く勉強などした。家に帰ると家族4人狭い2間であったので当然勉強机などなかった。時には会社の昼休みを利用して勉強したのも懐かしい思い出である。勉強はどこでも出来るという思いであった。電車の中、歩きながらの単語覚え休日は青少年会館に行き勉強した。努力すれば結果はついてくるという感じだった。只やはり卓球は直ぐ上達しない。勉強と兼ねて日曜日は青少年会館に行き午前中は勉強、午後は卓球という生活が暫く続いた。そんな時、会館で良く似た人がいた。学校で同じクラスの溝畑芳子さんだった。お互い、”え!””あ!”といったまま暫く顔を見たままであった。何で君がここにいるのという感じで悟は溝畑を見ていた。クラスでは殆ど話をした事もなくお互いに意識もしていなかった。芳子は”村井君卓球するの”弟に語りかけるような口調。それもそのはず、後でわかったのであるが芳子は悟るより三つ年上であった。悟は殆ど女性から声をかけてもらうことはなかったので一瞬どきりとした。何だかかなり年上のお姉さんという感じであった。悟るは何だか今まで感じた事のないような心地よい感じがした。芳子は”村井君は良くこの会館にはくるの?””ハイ”たったこの返事をするのがやっとだった。悟はボートなってしまいいつものように汗だくだくである。芳子は姉さんの貫禄か”村井君一緒に卓球しよう”と誘われ又ハイであった。完全にリードされ1時間ぐらいした。疲れなんか全然なくピン球玉がはいたのか入らなかったのかどちらでも良く何にも覚えていなかった。芳子は”あ〜あ疲れた。村井君休憩しよう”悟は何が何だかわからず只只ふ〜とため息が出るだけであった。不思議な感じがした。女性と話をする事なかった悟にすれば是が生まれてはじめて女性と話したのかもしれない。新鮮な気持になった。いいなあって!その時思った。ずっとこのままだったら良いのにと悟は勝手に思っていると芳子は”村井君もう帰ろうか”悟は唖然とした顔をして”ははい”と答えるのがやっとであった又反面がっかりした。芳子とわかれてから悟は是が大人になっての初恋の気持かと思った。悟T5歳の時だった。今度は益々早く学校に行きたっかった。仕事も手につかず早く仕事終わらないかなあ〜、男も本当に単純な動物だなと思う。悟だけかもしれないが、悟は特にそうだった。毎日が楽しく、仕事も、勉強も、クラブ活動も全てが悟中心に回っている感じがした。溝畑芳子やや小柄で少しふっくらした可愛いタイプであった。すごくやさしく柔らかい語りかけるような話し方、落ち着いた雰囲気もありお姉さんという頼り甲斐ある女性であった。職業は看護婦さんだから余計にそう感じたのかもしれない。看護婦は夜勤勤務も有るらしく時々仕事がハードなのか学校を休む時があった。出身は九州佐賀であった。色白い温暖な環境で育った18歳の芳子であった。悟と芳子の中はいたって純情で、手さえ握る事もなかった、たった一度学校でフォークダンスの時間があったとき悟は大変であった。段々と順番が回ってきてあ^あもう直ぐ後一人になると悟の胸は苦しくパニック状態で破裂しそうであった。手には汗がにじみ滴るようであった。芳子は悟の前にくるといつもの笑顔でぺこりと頭を下げ宜しくという感じだった。悟は緊張のしっぱなしで、でくの棒そのものだった。その後何回か青少年会館に行き二人で卓球したり勉強したり楽しかった。たまに学校を休む時があってきていないときは悟は何も知らず何かあったのかと思い中之島にあった大阪回生病院に電話し尋ねたりした。良く電話したものだと思う。電話の取り次ぐ間が何と長く感じがした事か、やっと”溝畑です、村井君有難う心配してくれて明日は学校行くから又明日ね”悟は何も言えなっかった。”うん”だけである。それで充分だった。元気で良かった。本当に良かった。何もなくて。帰りの足取りは軽くステップするような軽やかさだった。この段階では悟の中で少しずつ芳子に対する気持が以前と比べて比較にならないほど芽生えていた。今ごろどうしているのか、もう寝たのかなあ、、。明日はくるかなあ、、。毎日が楽しくもあり不安でもあった。芳子の方もそんな悟の行動から察ししたのか悟を見る眼が違うように感じてきた。お互いが意識を持ち始めてからこのままいくのかと思っていた矢先、とんでもない出来事が起きてしまうのである。

●第13回目(新たな出来事)
いつものように悟と芳子は待ち合わせしたように会館で卓球をしようと悟はルンルン気分で卓球場に向かった。そこにはいつもの
芳子がいた。しかし今日はいつもと少し違い今まで以上に明るく楽しい芳子の姿があった。向こうから芳子が悟の姿を見つけたのか”村井君〜”小走りで悟に近づいて来た。今日は普段と違い芳子のそばにすらりとした均整の取れた甘いマスクの男性が立っていた。”村井君紹介するはこちら高田肇さんです。高田さんとはこの会館で知り合い卓球を教えてもらっているの”高田はさりげなく”高田です宜しく”芳子より3歳上の21歳の好青年だった。悟は頭をハンマーで殴られたような気がした。少し気分が悪くなりイヤイヤながらも卓球していたが又高田は卓球が上手くとても歯が立たない感じであった。カッコ良さもあった。芳子の顔を見ているとまるで恋人のように振舞っているかのように悟には感じがした。卓球などもうどうでも良かった、早く帰りたかった。芳子はそんな悟の気持も知らず”村井君3人で一緒に食事しよう”と誘われたときは最悪だった。悟は”僕はいいです、どうぞ、今日用事がありますので先に失礼します”といって帰ってしまった。帰りながら吐き気をもよおすぐらい気分が悪く、一体是は何だ。悟はようやくわかった。高田に嫉妬している自分に気がついた。何でや何でや芳子の馬鹿馬鹿と心の中でつぶやいていた。一体自分は何だったのだ。遊ばれていたのか、それとも勝手に悟が思い込んでいたのか、今までの行動を振り返り自問自答しながら悟の頭は混乱していた。わけがわからなくなり半泣き状態になっている悟ははじめての経験だった。是がいわゆる世間で言う失恋に当たるのかもしれない。とにかく余りにも悟は純情であったのかもしれない。家に帰っても引きこもり気持が収まらずどうしようもなかった。悶々としていても埒あかず悟は次ぎの行動に出た。芳子に対する僕の気持を伝え芳子の本心を聞いてみようと思ったのである。その晩悟は長々と手紙に自分の気持をつづり今までの事自分の気持、芳子は僕の事をどう思っているのか確かめるように一気に書いた。その晩に書き上げ直ぐに郵便ポストに投函した。既に夜遅く配達時間などしてくれないのに、、、。気持が早り投函した自分はどうしようもなく動転していた。翌日の朝の気持は暗く仕事もする気もなく抜け殻同然であった。1日ぼ〜として仕事が終わっても学校に行くのが逆に怖くなり、芳子にどんな顔をしようか、何を話そうか、高田とはどんな関係なのかとか勝手に考えていた。学校に着いても落ち着かず授業が始まって出席簿の点呼が始まっても芳子の声はしなかった、芳子は夜勤かもしれないと悟は思った。翌日も芳子の姿はなかった。次ぎの日にやっと姿を見たとき芳子もいつもの明るさはなく暗い表情になっていた。授業中の休憩中に芳子が悟のそばにきてそっと”村井君後で手紙読んで”といってそのまま帰ってしまった。悟も気になって授業どころではなく次ぎの授業時間の合間を見て手紙を読んだ。1行1行読んでいくうちに悟との事高田との関係今では精神的支えが高田でありいずれは結婚も考えている内容であった。悟に対しては弟のような感覚で接してきていた事、悟を好きとか嫌いとかの恋心ではなく友達感覚できた事が綴られていた。悟はショックだった。暫く呆然としてあれほど好きであった卓球もどうでも良いと思った.何もかもイヤになった。是ほど女性とは影響するものか仕事も人生も生きることさえ絶望になり希望のない人生とはこのことか、恋は盲目という周囲の状況や状況も狂わせてしまう。仕事どころではなくなる、一体女性とは、、?男を狂わせ生命力も奪い取る力が女性にあるこの存在感。この世の男性人は随分女性で悩み苦しみ悶え人生を棒に振り名誉も地位も捨てているこの世の男性がいかに多いことか。是からは女性の時代がくるという、余程男性人も腹をくくっていかないと男性と女性との力関係はおろか何もかも腑抜けになり主(あるじ)がわらじになりかねない状況である。全ての男性とは言わないがしっかりした人生の目標と自分がこの世に生まれてきた使命感を持たないと女性に頼られ、だらしない人間になるかも知れない。しっかりしないといけないと思うのは筆者ばかりであろうか。女性も男性次第で変わる。過去からの歴史を紐解いても同じ事が言える。確かに女性は戦後徐々に強くなり独立した女性が多くなり男性に依存していた時代は過去のものになりつつある。女性も男性も自分という人間がこの世に対してどう生きていこうとしているのか、何を目的にしているのか?お金、名誉、地位、権力等仕事を通じて自分は何をこの世に残すのか、大きな課題テーマである事は間違いないところである。筆者は仕事の転職王と自称しているがこの経験を通じて一人でも勇気と希望と断じて負けてはいけない強い自分自身を築いていただきたいのが願望である。最後まで諦めない最後までチャレンジ精神で自分に勝つ事がこの世に生を受けた使命ではないかと考える。生きる勇気を断じて持とう!希望を与えよ!共々に今生きている人達に、是から生まれてくる未来の使者にメッセ−ジを!

●第14回目(その後の悟)
暫く何もする気がなくなり夢も希望もなく毎日が無意味な人生を送っている感じであった。学校も仕事も、まるで夢遊病者が漠然と生きている。何も考えられない悟。どのぐらいの時が経過したであろうか。考えないようにしてもついつい考えてしまう。芳子もそれ以来殆ど学校には来ず、いつのまにか退学してしまい風の便りで佐賀で高田と一緒に結婚生活を送っているらしい事を聞いた。それが一番良かったのか悟にもわからなかった。しかし人間もその人が目の前からいなくなると自然と時が解決してくれるものである。今から思えば若き日の良き思いでとなった。何かさわやかな香りの恋いであったのかもしれない。悟は何もなかったように毎日昼は会社に夜は学校にそしてクラブ活動に夢中になっている自分がそこにいた。それはまるで忘れたいが為に夢中になっていたのかもしれない。人間夢中になれるものがあることは救いの手となる。新たな挑戦が悟の中で徐々に芽生えていた。卓球の部員は男女約40名近くいたが一年近くなると約半分になっていた。その中でも今でも尊敬する先輩がいた。先川久志であった。卓球は勿論、人間的にもやさしくすらりとした均整の取れた体格、顔立ちも映画俳優にも出てくるカッコ良さを持ち合わせていた。当然クラブの女性は先川を見にくるほどで、卓球は二の次という感じであった。男の悟も自然と先川の魅力に取りつかれてしまった。学校全体の女性が注目の的といっても良かった。何時もどんな時でも悟は先川の行くところついていった。休日も卓球にとりつかれ先川といる時ほど楽しいことはなかった。別に同性愛的な気持ではなく一種憧れ的な存在であった。そのころは完全に過去の事は遠いものになっていた。一年はあっという間に過ぎ悟は2年生になった。新たな新1年生の受け入れが既に始まっていた。そこにあらたな悟にとって一生涯を決する女性とのめぐり合わせが来たのである。

●第15回目(二人の先輩)
悟るが新学年を思い出す4月の始まりである.一年間があっという間に過ぎてしまった。悟にはこの一年間色々あったが良い経験をしたと思っている。学校生活でのクラブ活動は体力的には厳しいものがあったが楽しくもあった。片思いの恋も経験した。卓球は相変わらず上手く中々ならなかった。先川先輩と同様にもう一人の尊敬する先輩がいた。学年は二つ上で瀬戸忠司といって先川とは又違ったタイプの人間であった。どちらかといえば単純で余り深く物事を考えずに思ったことをストレートに出すタイプで、なんとなく頼り甲斐がありそうでなさそうでどことなく安らぎを与える先輩であった。瀬戸の卓球も性格が良く出ていた。自分が思っていた玉がきたら何も考えずに直ぐスマッシュしてミスをする。この繰り返しであった.。そばで見ていたらもう少し考えても良いのにと思っていても本人にしたらその打ち方が正解であると思っているらしい。悟はこの二人の先輩と知り会えた事がどれだけ是からの人生で良き関係となったか、困った時は励ましてもらったり相談したり良き兄貴の存在であった。只残念な事に先川は後年49歳の若さで急性肺炎で亡くなってしまう。驚きであり寂しさもあり3人がいてからこそ何でも話しあえたり親兄弟以上の付き合いが出来たと思う。今では瀬戸忠司一人となり時々会っては何時も話題になるのが先川の話しであった。3人で行った旅行の話しや釣りに行ったことボウリングした事何から何まで昨日のような思い出となり何時でも高校時代がよみがえってくる。非常に良き先輩をもてた事が悟にしては最高の喜びでありかけがえのない友であり人生を生きていく上においてプラスになり心の支えとなってきたのは間違いない。まさに友人はこの世の最高の財産である。

   ●第16回目(二人の村井)
人生には不思議な事があるものだ、偶然といってしまえばそれまでかもしれない。新1年生が入学してからクラブ活動も活発になり毎日がにぎやかであった。瀬戸がキャプテンになり先川がおり悟がいて今までない充実したメンバーがそろった。一番強かったのが先川で先川次第のところもあった。府下大会も何時も上位に入っていた。女性の人気も良く20名のメンバーが入ってきた。でも3ヶ月,半年も過ぎれば10名ぐらい残れば良いところであった。その中でもひときわ明るく誰とでも話しをし周囲の雰囲気を和らげる一人の女の子がいた。村井春美であった。春美はふっくらとしていて美人というよりも可愛いタイプで純情そのものであった。クラブが終わって皆で食事を行くにもついてきて一緒にいていても違和感がなく女性という意識を感じさせない子であった。日曜日など他の学校とかの練習試合にもよくついてきて応援していた。何時の間にか男女の中に自然となじんでいた。悟も別に意識もなく普通に接していた。クラブ活動が終われば尼崎に住んでいたのでJR塚本駅迄一緒に帰っていた。帰りの途中で卓球の事や家族の事,今悩んでいる事仕事の事なんでも話をするようになっていた。春美も悟の事を男という意識ではなく卓球の先輩としての方が強かったのかもしれない。春美はそんなに勉強も得意ではなかった。
只IQ(知能指数)の数字は非常に高く180あった。そんな風には見えず只の女の子である。春美の家庭環境が複雑で春美の父村井芳蔵 母村井菊、長女村井華子 次女村井明子 三女が春美であった。春美の二つ年下で長男村井太の6人家族であった。家は古い家で台風がくれば吹っ飛んでしまうような感じである。よく物語で3匹の子豚の話があるように藁葺を少しだけ木で支えているような家だった。その家に6人家族が住んでいるのだから想像を絶する空間である。それでも四畳、6畳の2間はあった。台所は立つだけのスペースしかなかった。春美の父芳蔵と母菊とは年齢が約20才ほど離れていた。春美が生まれたのは芳蔵が50歳の時の子供である。今の少子高齢化では考えられない事である。余り先のことは考えないのかもしれない。



                                                                 
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